早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科 森戸研究室 オペレーションズリサーチ研究 |
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研究方針
企業などの生産/ロジスティクス活動において生ずる様々な計画管理問題に対して数理モデルによる分析を試みることを中心課題として「理論と実践との橋渡し」に焦点を当てながら研究に取り組んでいます. オペレーションズリサーチ(OR)によるモデル分析は, 1. 問題の把握とモデル化 2. モデルに対する解の導出 3. 導出した解に基づく計画管理の実施 という三つの基本ステップを踏みます.過去の研究のきわめて多くは, その重点が,解の導出ステップに置かれ,様々なモデルとそれらを解く技法が開発・蓄積されてきました.しかし,それらの技法が十分に活用されているかと考えてみますと,必ずしもそうとはいえません.必要性やポテンシャルはあるのに,なぜでしょうか.どうすれば,より有効に活用できるのでしょうか. 森戸研究室では,計画管理問題に数理モデルを使いこなすためには,モデルとその解法の「使い方」とが十分に検討されるべきであると考えています.解法の使い方をも研究の題材とすることによって,数理モデルによる問題解決のポテンシャルを一層高めようと考えています.森戸研究室における研究の目的は,理論(=モデル+解法)と実践との接点を探ることにあります. 過去の研究テーマ
研究の基本姿勢は,先に述べたとおりですが,研究テーマはORに関連してさえいれば,かなり幅広く自由に選択することが可能です.解法に特化した研究をしている人もいます.とはいえ,研究室のプロジェクトに関連した研究テーマが多いことはいうまでもありません. ●今までのプロジェクトの例 1. 鉄道における乗務員運用計画・車両運用計画への数理計画アプローチ(鉄道総合研究所) 2. 食品製造メーカーの生産計画(某食品加工メーカー) 3. レンタルハウス業者のロジスティクス政策(某レンタルハウス業者) 4. 郵便事業における輸送・配送計画,設備配備計画(郵政省) 5. 自動車製造における塗装・組立スケジューリング(某自動車メーカー) 6. フレキシブル生産システムの効率的運用(某工作機械メーカー) 7. 装置産業における制約の厳しい生産スケジューリング(某繊維メーカー) ●身近な問題のOR分析 学生が身近に見つけた問題をOR的視点から分析しておもしろい研究をしようという形の試みも積極的に進めています. 具体的には, 1. (バイトで働いていた)スーパーの在庫管理 2. 病院やホテルにおけるシフトの決定などの,制約の厳しいスケジューリング 3. プロ野球やJリーグの試合に代表されるスポーツのスケジューリング 4. 宅配便の配送スケジューリング などがあります.これらの多くは学生のアルバイト先の問題を研究の題材としたものです. |
研究事例:鉄道における乗務員スケジューリング
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森戸研の代表的なプロジェクトの1つに鉄道に関する研究(通称鉄研)があります.鉄道総合技術研究所とのプロジェクトのため,月1回程度研究所の方と話し合いを行っています.他の研究と少し違うことは,実際のデータを扱っているため,現実と比較しやすい(相対的に比較できる)ということです.
現在研究を行っている主な問題は,乗務員の運用計画の作成という問題です.列車のダイヤ,つまり列車の本数や各列車の出発駅・出発時刻といった情報が所与のもとで,乗務員(運転士)の夜勤を含む1回の勤務スケジュールを作成する問題です.このスケジュールを行路といいます.運転士がいなくては列車が動かないため,全ての列車に少なくとも1人の運転士さんがいなければなりません.また,乗務員の労働条件や安全面の配慮から,過大/過小な勤務ではまずいとか,連続で運転できる時間に上限があるなど様々な制約があります.そうした制約を満たす行路を生成し,少ない人数でダイヤを運用可能な組合せを見つけることが乗務員運用計画の作成です.研究の成果が次第に実りつつあり,実在の通勤線区を対象にした性能評価でも,良好な結果が得られはじめており,さらに実用に向けての一層の努力をしようとしています.鉄道に関する計画問題には,この他にも,電車が遅れてダイヤが乱れたときのスケジュール作成や,月単位の勤務スケジュール作成問題などが将来の検討課題としてあります. 現実の問題を扱っているため,数理計画の知識はいらないように思う人もいるようですが,実際に使えるようなシステム開発にあたっての諸問題を考えるにしても,解法の詳細を扱うにしても,3年生で学ぶ「オペレーションズリサーチA」に代表される基礎知識が絶対に必要となります.また,ここ数年,より実際に近い問題を扱うようになり,プログラムの実装が複雑になって,C言語(C++言語)やJAVAが好きな人/できる人には格好の題材です. |